【WhitePaper】LIVE BOARD

テレビでもデジタルでもない、第三の選択肢。OOHは「次のリーチメディア」になれるか? ~「日本の広告費2024」をOOH目線で見てみる~

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LIVE BOARD インサイト部 村岡京花

2025年2月に株式会社電通が発表した「2024年 日本の広告費」をLIVE BOARDOOHの視点から分析を行いました。

広告費_全体概要

株式会社電通が発表した「2024年 日本の広告費」によると、日本の総広告費は7兆6730億円で、3年連続で過去最高を更新しました。特にインターネット広告費は前年比109.6%と、全体の伸びをけん引しています。

一方で、OOHを含むプロモーションメディア広告費は、前年比101.0%とほぼ横ばいの結果となりました。

プロモーションメディア広告費について、過去10年間の推移を分析した結果、2014年以降全体的に減少傾向にあることがわかりました。2019年に一時的に大きな増加が見られましたが、これはラグビーワールドカップ2019や大阪で開催されたG20に関連する広告需要の高まりに加え、新たに「イベント広告」が集計の対象となったことが要因です。

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広告費_OOHについて

まず、LIVE BOARDはコロナ流行前の2019年に設立されました。この時期から屋外・交通広告ではデジタルサイネージへの移行が本格化し始めました。

続いて、2020年の新型コロナウイルス感染拡大を機に、屋外・交通ともに広告費が大きく落ち込んでいることが確認できます。

要因として、リモートワークの普及などに伴う通勤・通学者数の大幅な減少や、リーチ媒体としてインターネット動画広告の台頭が考えられます。実際、2021年のインターネット動画広告費は5,128億円と、前年の3,862億円から大きく成長しており、従来のオフライン広告からオンライン広告へのシフトが加速したことが伺えます。

2021年以降は、屋外・交通広告ともに復調しています。

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こうした環境や広告市場全体の変化を経て、近年デジタルメディアの存在感が急速に高まっています。
この流れはOOH市場でも同様で、「OOHのデジタル化」、つまり「DOOH(Digital Out of Home)」への関心は高まっており、2024年の市場規模推定は934億と右肩上がりに成長しています。

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2024年のトピック_テレビデジタルメディアが急速に成長

2024年は、デジタルメディアの中でも、テレビや新聞、雑誌、ラジオといったマスメディア由来のデジタル広告費が大きく拡大した年でした。媒体の枠を超えた、デジタル起点でのコミュニケーションが広がりを見せています。特に、テレビデジタルメディア広告費が前年比146.3%と、極めて高い成長率を記録しており、他媒体と比較しても圧倒的な伸びを見せています。

この大幅な成長の背景として、2つの変化が挙げられます。
1つ目は生活者の視聴行動の変化です。テレビの視聴行動が従来の地上波中心から、CTV(Connected TV)やストリーミングサービスを通じた視聴へと大きくシフトしています。実際に、ビデオリサーチの調査では、CTVを利用した動画の視聴時間量がコロナ流行前と比べて533%増加していることがわかりました。
2つ目は広告主側の変化です。生活者の変化に呼応する形で、テレビ広告の役割や投資配分の見直しが進んでいます。2022年のインテージのアンケート調査によると、半数以上の広告主が「CTV広告への出稿をテレビからの予算シフトで実施する」と回答しています。これは、「テレビで取り切れなくなったリーチを、同じ"テレビ的な体験"におけるリーチで補完したい」という発想に基づくものであると考えることができます。

また、インターネット広告市場においては、「ビデオ(動画)広告」の成長が際立っています。2023年に6,860億円だった動画広告市場は、2024年には8,439億と、前年比123%の成長を記録しています。

このように、リーチメディアとしては、「テレビ/テレビデジタルメディア」と「ビデオ(動画)広告」の2つがメインメディアとなっています。今後、テレビの視聴率が低下していくと予測される中で、リーチを補完する手段として、デジタル領域でのコミュニケーションがますます重要視されることが考えられます。

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今後の期待と展望_OOHの復権を目指して

OOHが広告メディアとして再び存在感を発揮するためには、「リーチメディアとしての機能性」と、「視聴率が低下するテレビの補完メディアとしての立ち位置」を確立することが重要です。DOOHは、OOHの持つ独自の強みに、デジタルならではの柔軟性と計測性が加わることで、新たな価値創出が可能になります。

OOHの特長は大きく2つあります。
1つ目は拡散性です。公共空間に存在するメディアとして、一度に多くの生活者へアプローチすることが可能です。
2つ目は強制視認性です。生活者の意思で表示/非表示、読む/読まない、をコントロールできるテレビや新聞・雑誌、オンラインとは異なり、広告のスキップやブロックができません。
この2つの特長により、OOHはリーチ・認知獲得において高いポテンシャルを有しています。

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しかしその一方で、OOHが現代のメディアとしての確固たるポジションを築くためには、まだいくつかの課題を乗り越える必要があります。

特に重要となるのは、以下の3点です。
1つ目は、 メジャメント体制の整備です。現状のOOH市場では共通指標がなく、企業ごとに独自の指標を用いて広告金額を算定しており、広告主が出稿を判断しづらい状況にあります。すでに国内でも、OOHにおけるメジャメント指標の整備に向けた議論は進みつつあります。重要となるのは、広告主が安心して出稿判断をできる、信頼性と透明性を備えた指標設計です。統一指標の導入は、OOH市場全体の信頼性を高めると同時に、広告出稿の拡大や業界の健全な成長にもつながります。
2つ目は、 テレビ/デジタルと同様のPDCA運用体制の構築です。OOHも、テレビやデジタル広告と一元的に評価できる環境を整えることが求められます。プランニング・出稿・効果検証の各段階で、他メディアと連携した評価体制の整備が不可欠です。
3つ目は、統合メディアプランニングにおける「OOHならではの独自効果」の解明です。OOHがテレビやデジタルと並んでメディアプランニングに組み込まれるためには、「OOHだからできること」を明確にする必要があります。OOHは特定の場所・時間・シチュエーションに即した接触が可能であり、リアルな接点を通じて記憶に残る「体験」を生み出せるメディアです。さらに、屋外というフィジカルな環境だからこそ、強いインパクトを持った広告を届けることが可能です。こうしたOOHならではの効果を可視化・評価する取り組みが、メディアとしての価値を広く認識させるうえで重要なステップとなります。

こうした課題がある一方で、市場ではすでに「テレビかデジタルか」といったメディアの種類ではなく、「どのデバイスで、どう接点を持つか」という視点でのコミュニケーション設計が進み始めています。このような流れに合わせて、私たちも「OOH」という枠にとらわれず、「屋外というリアルな場に存在するデバイス」としてその役割を再定義し、生活者の行動や接点に寄り添ったコミュニケーションの形を再構築していく必要があります。

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LIVE BOARDは、OOHの進化と再定義の最前線に立ち、OOHならではの価値創出と、それを支えるメジャメント基盤・運用体制・統合設計の構築を通じて、OOHというメディアの可能性をアップデートし続けていきます。

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