10代コミュニケーションの新たな可能性 「届けたい」を突破する、DOOHという第3の選択肢

1. 10代コミュニケーションは、なぜ「いま」こんなにも難しいのか
「10代の若者に広告を届けたい。でも、その方法が年々難しくなっている。」
そんな声が、広告主や代理店の間でかつてなく高まっています。
かつて10代へのリーチは、SNSで年齢ターゲティングをかけ、興味関心でセグメントし、コンテンツに乗せて届けるという、比較的シンプルなものでした。しかし2024年以降、この「当たり前」が急速に変貌しています。
プラットフォームの「自主的な配慮」が、広がっています。
プライバシー保護の観点から、プラットフォーム各社が未成年者への広告配信に慎重な姿勢をとるようになっています。LINEやYahoo!では年齢指定ターゲティングや行動ターゲティングに一定の制限が設けられ、TikTokも未成年者保護のガイドラインを強化しています。
これは、子どもたちのデジタル環境を守るという観点から社会的に重要な動きであり、世界的にも同様の潮流が広がっています。オーストラリアや欧米各国では、未成年者のSNS利用そのものに制限を設ける動きも出てきており、デジタル広告の環境は着実に変化しています。
そして、「心理的な壁」も存在します。
あらゆる情報がタイムラインに溢れる現代、生活者の間では、企業からの一方的な広告を無意識のうちに排除する「タイムライン・ノイズキャンセリング※1」と呼ばれる行動傾向が広がっています。中でも、幼少期からスマホや動画コンテンツに囲まれて育った10代の生活者は、この広告スルーの意識が極めて自然かつ強力に働いています。広告が表示された瞬間、無意識のうちにスクロールし、スキップしてしまうなど、広告をスルーする傾向が強まっています。彼らの意識のフィルターは、興味・関心の低い広告を「ノイズ」として捉え、無意識のうちに読み飛ばしてしまう傾向にあります。
実際に、国内の若年層(Z世代)を対象としたある広告意識調査では、動画広告が表示された瞬間に「即座にスキップする」と回答した割合が実に約7割(69.0%)にのぼることが明らかになっています。

また、近年の国内調査によれば、現在の若年層やそれ以下のアルファ世代は、幼少期から専用デバイスを巧みに使いこなすデジタルネイティブ世代です。アルファ世代のスマホ・タブレット使用状況に関する調査では、「5割以上」が自分のスマホやタブレットを所持しているという結果が出ています。彼らは、企業から配信される一方的なデジタル広告をスルー(スキップ)する一方で、自発的に「友人のおすすめ」や「SNSの口コミ」を駆使して商品情報を能動的に調べ上げ、親を巻き込んだ購買行動を起こしているのです。

総じて従来型のデジタルターゲティングだけでは、10代へのアプローチに限界を感じている場面が増えており、この傾向は今後も続きそうだと言えます。
2.それでも、10代に届けなければならない理由
他方でターゲティングが難しくなってきたからといって、10代への広告活動をやめることはできません。
10代は「いま」の顧客でもあり、「未来」の市場でもあるからです。
Z世代・アルファ世代が持つ購買影響力は、個人の消費にとどまりません。彼らは、家庭の財布の紐を握る親世代の購買決定に関与すると言われています。例えばスマートフォン、ゲーム、飲料、旅行先など、10代がSNSやYouTubeで「いい」と感じたものが、そのまま家庭の購買につながるケースも少なくありません。そんな「子どもが親の購買を誘導する力」も10代にはあると考えられています。
この子どもが親の消費行動をリードする構造は、データにも表れています。日本国内の小学生の子どもを持つ保護者を対象にしたある調査では、70%以上の親が日々の買い物において「子どもの『好き』を最優先に考慮して購入を決定する」と回答しました。子ども自身の能動的な興味関心が、そのまま家庭全体の消費行動を左右する強力なドライバーになっていると言えます。

そして何より、ブランドへの好意は若年期に形成されるという事実があります。10代のうちに特定のブランドとポジティブな接点を作ることは、数十年単位の生涯顧客価値を左右する先行投資になるのです。
加えて10代はいつの時代も「文化そのもの」をつくる存在です。彼らの間で生まれたトレンドが、やがて20代・30代へと拡散し、市場全体を塗り替えていきます。その流れをいかに捉えるかが、マーケターにとって不変の課題と言えます。
3. テレビ・デジタルだけでは届きにくい「その先」に、DOOHがいる
では、どのようなアプローチが考えられるでしょうか。
テレビは認知形成において依然として強力ですが、10代のリアルタイム視聴率は低下しています。デジタルは各プラットフォームが未成年者保護の観点から慎重な姿勢をとっており、従来型の精密なターゲティング手法だけに頼ることが難しくなってきました。
実際に、総務省が毎年実施している情報通信メディアの利用時間調査を見ると、10代の平日におけるテレビリアルタイム視聴時間は1時間にも満たない(39.7分)のに対し、インターネットの利用時間は平日で約4時間(243.4分)、休日に至っては5時間以上(316.1分)に達しています。このデータは、生活時間の大部分をデジタル空間へ移行させている構造的な実態を浮き彫りにしており、従来のテレビまたはデジタルの二者択一のプランニングではなかなかアプローチしにくくなっていることが分かります。


こうした状況の中で改めて注目されているのが、DOOHという選択肢です。
DOOHが10代マーケティングに向いている理由
DOOHの強みは、逆説的ですが「ピンポイントで狙いすぎない」点にあります。
OOHは公共の場に設置されるメディアである性質上、公共空間への掲出を前提とした広告審査を経たクリエイティブが放映されます。さらに、デジタル広告のように特定の個人をトラッキングしない仕組みであることも大きな特徴です。この「社会的な信頼性」と「プライバシーへの配慮」というDOOHならではの安心感こそが、10代へのアプローチにおいて強みになります。
多くのデジタル広告が個人の行動履歴に基づいて精密に配信されるのに対し、LIVE BOARDはNTTドコモが保有するビッグデータ※2を活用しながら、「この場所・この時間帯に、こういう人たちが多くいる」という集団的な傾向をもとに配信します。個人を特定・追跡するのではなく、10代が多く集まるスクリーンを選ぶ----このアプローチは、プライバシーに配慮した、社会的にも受け入れられやすいメディア活用の形です。
LIVE BOARDが持つ、3つの特性
① Cookieレス・個人追跡に依存しない、プライバシーセーフなアプローチ
LIVE BOARDのターゲティングは、CookieやSNSのID等による「特定の個人の追跡」を行いません。匿名化・統計化された位置情報や行動データから「10代が多くいる場所・時間」を面で捉える、プライバシーに配慮したリーチ手段の一つです。
② スキップできない視認性×生活空間への自然な溶け込み
街中のビジョンに映る広告はデジタル広告のようにスキップされることがなく、日常の景色の一部として自然に視界に入るため、生活者のコンテンツ体験を妨げずに情報を届けることができます。10代が心理的に発達させた「ノイズキャンセリング」が、屋外空間では働きにくい可能性があります。
③「0次分析」でリアル空間のターゲットを捕捉
NTTドコモが保有するビッグデータを組み合わせて「どのような属性の集団が、どのスクリーンの前に、どの時間帯に多く集まっているか」を推計できます。個人を特定するのではなく、10代が多く集まる場所と時間を分析してアプローチする----これがLIVE BOARDの独自アプローチです。
いわば集団の傾向を捉える「ゆるいターゲティング」だからこそ、プライバシーに配慮しながら10代に届けられるのです。
それがLIVE BOARDが提供するDOOHの特性であり、メリットでもあるのです。
4.アプリ利用傾向×位置情報で、10代含有率を2倍以上に
LIVE BOARDの10代コミュニケーション事例を紹介します。
課題
スマートフォンのキャンペーンとして、10代向けプロモーションを企図していました。しかし、デジタル広告における10代ターゲティングの精度低下が懸念される中、「本当に10代に届けられるメディア」を模索していました。
LIVE BOARDのアプローチ:「0次分析」でターゲットを可視化する
LIVE BOARDが活用したのは、アプリダウンロードデータ×位置情報データ等の組み合わせです。
まずはNTTドコモの保有するビッグデータを活用し、10代の利用率が高い主要なSNSやコミックアプリ等のエンタメ系アプリをダウンロードしているユーザーの行動傾向を分析しました。そのユーザー層が多く滞在しているロケーションと時間帯を特定し、LIVE BOARDネットワーク内の全スクリーンの中から、対象ユーザーの含有率が高い面を選定して広告配信を行いました。
単純な「エリアターゲティング」ではなく、データによってターゲットの生活導線を描き、最も効率よく届く面、時間帯を選ぶことができます----これがLIVE BOARDならではのアプローチです。

実際、今回のターゲティング配信においては、対象ユーザーの含有率が高いスクリーンや時間帯へ、配信を効率的に絞り込んだため、ターゲティングなしの配信と比べて全体の広告接触者数※3は約半分に絞られるものの、10代へのアプローチ効率を非常に高めることができました。ターゲティングを行わない配信(シミュレーション値)と比較して、10代含有率が5.15%から12.10%へと約2.4倍に伸長。延べ約132万人の10代への広告接触を獲得しました。
さらに、面別の含有率結果をランキングで分析すると、上位には梅田や渋谷、横浜など、商業施設が多く中高生が頻繁に訪れるエリアのスクリーンが多数ランクインしていました。
5. 結論:LIVE BOARDは10代へ届く「第3の選択肢」
デジタル広告を取り巻く環境が変化し、従来型のターゲティング手法だけでは10代向けの広告活動を十分に検討できない場面が増えている現在、本検証結果は大きな可能性を示しています。
LIVE BOARDは、公共空間ならではの視認性を持ちつつ、アプリ利用ログや位置情報を掛け合わせた精緻な面選定が可能です。個人を追跡するのではなく、対象ユーザーが集まる場所と時間を捉えるこのアプローチは、プライバシーへの配慮と広告効果を両立する次世代のメディア活用の形です。
テレビ・デジタルに続く「第3の選択肢」として、LIVE BOARDは皆様の10代マーケティング活動を支援します。
※1 株式会社博報堂/TikTok f or Business「ブランドが選ばれるSNS・ショート動画活用のあり方」レポート(https://www.hakuhodo.co.jp/news/info/122440/)
※2 お客様から事前に利用許諾を取得し、利用者の個人情報が特定されない統計的な情報として配慮されています。
※3 位置情報許諾者×ドコモキャリアの広告接触率を利用して人口統計を基に拡大推計
出典・参考資料
- 株式会社博報堂/TikTok for Business「ブランドが選ばれるSNS・ショート動画活用のあり方」レポート(https://www.hakuhodo.co.jp/news/info/122440/)
- Fiom合同会社「Z世代の没入型広告についての意識調査」 / ショートドラマLAB「動画広告スキップ調査」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000104461.html)
- 株式会社On'yomi「α世代の購買・消費傾向調査」(https://news.mynavi.jp/article/20250520-3328231/)
- キッズウィークエンド株式会社 / 株式会社クロス・マーケティング(2025年)「子どもの『好き』と保護者の購買行動に関する調査」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000090247.html)
- 総務省「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000125.html)
